プロジェクトストーリー
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気候変動や少子高齢化、人手不足…さまざまな社会課題に直面している現代社会。そんな中、芙蓉リースは企業の持続的な成長と、豊かな社会の実現に向けた課題解決を両立するCSV(Creating Shared Value)という考え方を掲げている。中でも、エネルギー分野は特に注力している分野だ。 今回は、再生可能エネルギーを社会インフラにするために重要な役割を果たす系統用蓄電池プロジェクトに携わった2人に話を聞いた。いくつもの高いハードルを超えて、国内最大級のスケールを誇る先進的な系統用蓄電池を事業化させたストーリーを紹介する。
専門営業
2021年入社 法学部卒
白井 孝征takayuki shiraiエネルギー・環境営業部
- 2021年エネルギー・環境営業部
※金融機関にて営業経験を積んだ後にキャリア入社
専門営業
2017年入社 文学部卒
大谷 智satoru otaniエネルギー・環境営業部
- 2017年大阪支店 (現:大阪営業第一部・第二部)
- 2020年米国現法
- 2021年エネルギー・環境営業部
「系統用蓄電池」で、再生可能エネルギーを社会のインフラに「芙蓉リースにとって、エネルギー分野は一丁目一番地。そんな想いを持って取り組んでいます」 そう話すのは、エネルギー・環境営業部の白井。 近年、太陽光発電や風力発電をはじめとした再生可能エネルギーには大きな注目が集まっている。しかし、たとえ環境負荷を減らしたかたちで電力を「つくる」ことができても、それだけでは十分に電力を活用しきれないと知っている人は必ずしも多いとは言えない。 「太陽光発電は日が照らないとき、また風力発電は風が吹かないとき、計画どおりに電気をつくることができません。その逆も然りで、太陽光発電は日が照り過ぎたとき、また風力発電は風が吹き過ぎたとき、計画以上に電気をつくり過ぎてしまいます。だからこそ、電力を『つくる』だけでなく『ためる』ことができる蓄電池がとても重要な役割を果たすんです」 同じくエネルギー・環境営業部の大谷が語る。
気象条件等によって発電量が左右される再生可能エネルギー。蓄電池は、その調整弁となる。中でも、芙蓉リースが取り組むことになったのは、国内でも最大級の規模になる系統用蓄電池だった。 「今回の系統用蓄電池は、今後の再生可能エネルギー比率の高まり等により電力系統が不安定になっていく中で、電力系統に接続して調整弁としての機能を提供する、社会のインフラになるような大型の蓄電池であり、その設置面積は約8,000m2にも達します」(大谷)
「これまでも別の案件で協働していたエネルギー会社から声掛けがあり、一緒に事業を進めることに。今までに経験したことのないスケールだったので、緊張感がありましたね」(白井) そして、大和エナジー・インフラ株式会社、充放電のオペレーションを担うアストマックス株式会社、そして芙蓉リースの3社が共同出資するかたちで大規模系統用蓄電池プロジェクトがスタートする。
困難な事業化を成功させた、 苦い経験と社内を巻き込む熱量実は、芙蓉リースは、2021年に蓄電池ビジネスの先進地域・イギリスでの系統用蓄電池プロジェクトに参画した実績がある。 「日本に比べて蓄電池ビジネスの先進地域であるイギリスのプロジェクトにいち早く参画したという点でも、芙蓉リースは日本国内において蓄電池ビジネスの領域では先駆的なポジションにあると思います。その知識や経験を活かし、事業を推進させる力になりたいと考えていました」(大谷) しかし、エネルギー関連の制度整備が進み、市場が成長している海外と比べ、日本国内での事業化は決して簡単ではない。 「系統用蓄電池ビジネスは、蓄えた電気を電力関連の『市場』で売買取引する仕組み。そのため、価格が常に変動するんですよね。だから、収益の予測を立てることが非常に難しい。それに、一度はじめたら事業期間は15年~20年と長期にわたりますし、何よりも未だ日本国内ではビジネスとして確立されておらず参考になるデータがほぼありません。『これならば間違いなく収益が上がる』という確証を得ることがほぼ不可能なんです」(白井)
そんな中、設備の仕入先パートナーや土地所有者との交渉、新たに実施される補助金制度のチェック等細かい工夫の積み重ねで事業化の確度を高めていった。 ただ、何よりも事業化を実現させる力になったのは、成功も失敗も含めて芙蓉リースで積み重ねた豊富な経験と、「何としてもこのプロジェクトを成功させたい」という2人の強い想いだった。 「実は、これまで日本国内では蓄電池ビジネスにチャレンジしても事業化の土俵にすら立てず、涙を飲んだことが何度もあります。土地に関する条例が厳しかったり、設備に関する法令をクリアできなかったり、予算面で折り合いがつかなったり…。でも、それらの苦い経験を決して無駄にしたくなかった。『今回こそ』という想いで、法令や最新の補助金動向を徹底的に調べたり、他エリアへの事業展開を検討することでリスク分散を図る等、思いつく限りできることを実行しながら事業化へと進んでいきました」(大谷)
「正直、どれだけ計算を重ねても、いくら収益が上がるのかが読みにくい案件だと思います。そんな不確実性の高い案件にたくさんの人も、お金も、時間も費やすという経営判断は、普通に考えたら簡単にできることではありません。そこで『再生可能エネルギーを普及させるために間違いなく系統用蓄電池は欠かせない。今後成長する事業分野であり、このプロジェクトは、これからの社会のために必要なんだ』…そんなメッセージを社内に伝え続けました。上司も積極的に役員陣と掛け合ってくださり、周囲を巻き込みながら協議を重ねた結果、会社としてGOサインが出たんです。芙蓉リースのエネルギー事業に賭ける覚悟を感じましたね。社内の後押しも受けて、『ここから狼煙を上げていくぞ』と決意をした瞬間でした」(白井)
“前例のない場所へ。”歩み続ける、 エネルギー業界の先駆者として2023年内に蓄電池の設置が完了。現在は2025年の運転開始を目指して準備を進めているところだ。事業化が決まり、プロジェクトを率いる白井はさらに気を引き締める。 「設備のメンテナンスや運転開始後の運用方法についての議論等、まだまだやることはたくさんあります」(白井) プロジェクトのリリースが発表されてからわずか数ヶ月。しかし、すでに多くの反響があるという。 「リリースを出してから、いくつもの企業様にお問い合わせを頂いています。『新規の蓄電池事業を一緒に検討したい』『芙蓉リースが参画する蓄電池プロジェクトについて話を聞きたい』等。国内の蓄電池分野におけるリーディングカンパニーであるという認識がより世の中に広がったのではないかと思います」(大谷)
念願だった「系統用蓄電池の事業化」というスタート地点に立った今、このプロジェクトの意義を2人が振り返る。 「ひとつの案件を形にできたことで知見が増えました。このプロジェクトを初号案件として、ここからさらに2号案件、3号案件と続けていこうと2人で準備を進めているところです」(大谷) 「2021年にイギリスで系統用蓄電池事業を経験できたからこそ、2年後に今回のプロジェクトが実った。そして、2025年に運転開始されれば、世の中に大きなインパクトが生まれ、また新たな先進事例がつくりだされることでしょう。刻々と状況が変わるエネルギー業界の中では、常に先駆者であり続けることが大事。そのポジションにいるからこそ、今回のような大きなチャンスに恵まれますし、さらなる未来に向けた種を撒くことができるんです。逆に言えば、1年の遅れが大きなビハインドになってしまうシビアな業界とも言えるでしょう。 “前例のない場所へ。” これからも、スピード感を持って歩みを進めたいと思います」(白井)
最後に、今後の展望を2人が語る。 「今、蓄電池ビジネスには注目が集まりはじめています。イギリスのプロジェクトも、今回のプロジェクトも、新聞に取り上げられるような案件になりました。社会的インパクトの大きい、この仕事にこれからも取り組んでいけたらと思います」(大谷) 「エネルギーの分野は、とても奥が深い。だから、どんどんのめり込めるんです。自分の興味や意思に応えてくれる風土環境が芙蓉リースにはあるので、この風土を活かしながら自分を高めていきたいと思いますね」(白井)
お客様の要望に従って「モノを貸す」。これが従来のリース会社のかたちだった。しかし、芙蓉リースが取り組んでいるのは、自ら社会課題を見つけ、パートナー企業を巻き込み、ソリューションを開発し、マーケットに提案していく…そんな新しいビジネスのかたちだ。 今回話を聞いたのは、食品廃棄物問題に着眼し、パートナー企業とともに新たなソリューションをつくり上げていった2人。企業の垣根を超えたワンチームとして、社会課題と経済性の両立を叶えていったストーリーを紹介する。
エリア営業
2009年入社 経済学部卒
横地 雄也yuya yokochiコーポレート営業第二部
- 2009年第七営業部
- 2013年東京営業第三部
- 2018年大阪営業第一部
- 2022年コーポレート営業第二部
営業スタッフ
2012年入社 商学部卒
平泉 拓将hiromasa hiraizumiビジネスソリューション部
- 2012年東京営業第一部
- 2014年名古屋支店
- 2018年ビジネスソリューション部
食品廃棄物の社会課題にアプローチできる技術との協業を「既存の枠組みにとらわれずに、自分が設定した社会課題に対して新たなソリューションを創造するのが、私の部署。中でも私は『食品廃棄物』にフォーカスしていました」 そう話すのは、ビジネスソリューション部の平泉。前例にとらわれないソリューションをつくり上げる…。華々しい仕事にも聞こえるが、アイデアを生み出す過程では、現場を回り汗をかいていた。 「机上で考えているだけでは、社会課題は解決できません。まず食品ゴミの実情を知るために、いくつもの食品会社のゴミ庫を回って、どんな食品廃棄物が、どれだけ出ているか調べていました」
そんな地道な活動を続けて数ヶ月。とある出会いをきっかけに、ひとつの光明が見えた。 「食品廃棄物を資源として有効活用する食品リサイクルの分野で、どんなソリューションが存在するのか。リサーチを進める中で、とある大手企業のグループ会社(以下、A社)が、食品廃棄物から再生可能エネルギーを創出する超小型バイオガスプラントを開発していることがわかったんです」(平泉) たとえ食品リサイクルを実現できても、企業に膨大な経済的負荷がかかっていたら持続可能ではない。この超小型バイオガスプラントの技術があれば、これまで食品工場などが負担していた食品廃棄物処理場までの運搬コストを削減することができ、再生可能エネルギーもつくり出せる。まさに食品廃棄物の有効活用を実現しつつ、関わるすべての企業のビジネスも潤う技術だった。
「早速、A社代表の講演を聞きに行き、終演後に名刺交換。『ぜひ業務提携をして一緒に取り組みたい』とメールを送りました」(平泉) 実は、この大手企業グループは芙蓉リースの重要顧客でもあった。営業担当者であるコーポレート営業第二部の横地にとっても、さらなる信頼関係の構築に繋がると感じたという。 「このクライアントは、日本を代表するような大手企業グループ。リース商品を提供する『お客様』としての関係だけでなく、ともに社会課題解決とビジネス創出に取り組む『パートナー』としてチャレンジができたらと考えました」(横地)
パートナー企業と同じ方向を向いたワンチームになる満を持してスタートした食品リサイクルプロジェクト。技術を提供するA社と、マーケティングや営業活動を担う芙蓉リースという体制で進むことになった。 「先方にとっても新しい取り組み。だからこそ、信頼関係の構築が鍵になります。そこは、営業担当である私の出番です」(横地) 同企業の他グループ会社といくつもの案件を動かしてきた経験を持つ横地。これまでの実績や芙蓉リースの強みを伝えながら、着実に信頼を獲得していった。その結果、A社内での意思決定もスムーズに行われ、プロジェクトを円滑に進める推進力となっていった。平泉も振り返る。 「ビジネススキームをつくり出すのは私、そのスキームを実現させる“地ならし”をしてくれるのが横地さん。そんなコンビネーションでプロジェクトが進みました。いくら良いビジネススキームを思い付いても、会社同士の足並みが揃わなければ実現には至りません。なので、横地さんにはとても感謝しています」(平泉)
少数精鋭で技術の開発に取り組んでいたA社にとって、芙蓉リースのマーケティングや営業活動は全国展開する上では欠かせないピースとなっていた。 「当初、先方内でこのプロジェクトに関わっていた人数は数人程度。技術を開発するのに精一杯で、営業活動まで手が回っていない状況でした。一方、芙蓉リースは、全国の食品会社との営業ネットワークを持っており、経営層とも繋がっています。私たちであれば、ソリューションを全国展開する大きな力になることができると確信していました」(横地) 実際に、芙蓉リースがA社に紹介した企業は100社を超える。そして、マーケットのニーズとA社の技術を橋渡しする貴重な存在として存在感を発揮していった。
「食品会社と先方との間に立って、質問の回答や、細かな条件のすり合わせをする。そうする中で、食品会社が何を求めているか、A社はどんな答えが出せるか、把握できるようになってきたんです。その結果、ホームページに記載されているQ&Aを私たちの提案でブラッシュアップしたこともありましたね」(平泉) 「A社と芙蓉リースは、同じ方向を向いたチーム」だと話す平泉。お互いに足りないところを補い、強みを活かし合いながら、ワンチームでプロジェクトを推進させていった。
企業の垣根を超えて、複雑な社会課題に向き合えるチームをつくりたい現在、複数の食品会社と超小型バイオガスプラントの導入に向けて、商談を行っているところだ。このプロジェクトの反響を2人が話す。 「もともと私たちには、『モノを借りる』リースの会社というイメージがあったかもしれません。でも今は、『社会課題や経営課題について相談できる』会社というイメージに変わりつつある。実際に、食品会社の中には食品廃棄物を大きな課題としてとらえているところも少なくありません。このプロジェクトをきっかけにさらにイメージを転換させることができていると感じています」(平泉) 「『他にも一緒に社会的意義のある取り組みができないか』と、A社の他のグループ会社からの相談も頂けるようになりました。グループ全体で芙蓉リースのプレゼンスが高まっているように感じています」(横地)
最後に、今後の展開について2人が話した。 「従来のリース会社は、お客様が欲しい物件をリースで提供するのが一般的でした。でも、今回実現したのは自分たちで社会の課題やマーケットのニーズを見つけ、新たなソリューションを開発していくかたちです。重要なのは、自分たちだけではなく企業の垣根を超えたチームで社会課題を解決しようとすること。リース会社は、技術や商品・サービスを持つ事業主体にはなれないかもしれません。でも、だからこそ、A社のようなパートナー企業を巻き込み、お互いのできること・できないことを持ち寄ることで、複雑な社会課題に立ち向かえるチームをつくることができる。そんな事業共創には大きな可能性があると信じています。そのような取り組みを広げていきたいです」(平泉) 「芙蓉リースには、社員の主体性を尊重してくれる風土があります。たとえば、平泉さんが自分で『食品リサイクル』というテーマを決めて、食品工場を回り、A社と協業したソリューションを開発していった。どれも上層部から言われてとった行動ではありません。社会課題の解決に繋がり、自社を含めた関係企業の利益も生まれる提案であれば、快く応援してくれる。そんなメンバーが思う存分活躍できるよう、これからもサポートしていきたいと思います」(横地)