芙蓉総合リースのDX戦略

デジタルテクノロジーを取り入れ、社会課題の解決に取り組む

デジタルテクノロジーを取り入れ社会に提供する価値を外部環境の変化に適応させ続けることによる長期的な共有価値の創造 代表取締役社長 織田 寛明

芙蓉総合リースが目指すDX

芙蓉総合リースはCSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)の理念のもと、事業を通じての様々な社会課題の解決と経済価値の同時実現を目指します。また、テクノロジーの進歩により、社会のデジタルシフトが加速する中、芙蓉総合リースは、デジタルテクノロジーを取り入れ、社会に提供する価値を外部環境の変化に適応させ続けることによる、長期的な共有価値の創造を目指します。

1.芙蓉総合リースのDX戦略

芙蓉総合リースはDXを通じての共有価値の創造を目指すべく、4つの戦略を策定しております。

  • 戦略1
    新たなビジネス領域拡大に向けた取り組み
  • 戦略2
    先進的な商品・サービスを通じた提供価値の向上
  • 戦略3
    営業活動のデジタルサポート
  • 戦略4
    事業運営の抜本的な効率化・高度化、柔軟な働き方と業務プロセス改革

2.戦略目標

戦略1

新たなビジネス領域拡大に向けた取り組み

  • リカーリング・サブスクリプション等のビジネス構築支援

戦略2

先進的な商品・サービスを通じた提供価値の向上

  • クラウドソリューションの展開
  • パートナー企業のDXプロダクト構築支援

戦略3

営業活動のデジタルサポート

  • 営業支援システムの高度化
  • データ連携・分析によるマーケティングの高度化

戦略4

事業運営の抜本的な効率化・高度化、柔軟な働き方と業務プロセス改革

  • デジタルを活用した社内業務プロセスの効率化推進
  • IT・DX人材のリスキリング

3.DX戦略推進体制

(1)「DX・マーケティング戦略部」の設置

DX戦略の推進を担う部署として、2022年4月に「DX・マーケティング戦略部」を設置しました。

(2)「DX戦略推進委員会」の設置

社⾧が委員⾧となる「DX戦略推進委員会」(2022年4月設置)において、①DX戦略推進に必要な組織・体制整備、②営業DX戦略の推進、③DX戦略を支えるITシステム・デジタル技術活用の環境整備についての審議・報告を行って参ります。

DX戦略推進委員会(委員長:社長 事務局:DX・マーケティング戦略部)によって、データ分析・ITシステム・デジタル技術・DX人材を行い、DX戦略を推進、デジタルテクノロジーを取り入れ、社会に提供する価値を外部環境の変化に適応させ続けることによる、長期的な共有価値の創造を実現する。
なお、DX戦略は[1、新たなビジネス領域拡大(リカーリング・サブスクリプション等のビジネス構築支援)]、[2、先進的な商品・サービスの提供(パートナー企業のDXプロダクト構築支援、クラウドソリューションの展開)]、[3、営業活動のデジタルサポート(データ連携・分析によるマーケティングの高度化、営業支援システムの高度化)]、[4、業務プロセス改革(デジタルを活用した社内業務プロセスの効率化、IT・DX人材のリスキリング)]の4つとなる。

4.戦略の推進状況等

2022年7月末時点の「DX戦略」推進状況等は以下のとおりとなります。

戦略1

新たなビジネス領域拡大に向けた取り組み

当戦略では、ITを活用した付加価値の高いサービスの開発を進め、従来では対応が難しかった新たなビジネスへの取り組みを進めます。
具体的には、モノの市場の成熟や脱炭素をキーワードに、顧客の消費行動が「購入(モノ消費)」から「使用(コト消費)」へシフトする中、本年4月より、メーカー等のお客様におけるリカーリング等サービスの構築支援を行うべく、ITシステムの環境整備の検討を優先的に進めております。
課題は、お客様の多様なニーズに対応できるよう、社内基幹システムを含めたITインフラ基盤を有効的に改修していくことです。今後は 、営業部門・システム部門等で連携して詳細機能の検討を進め、出来る限り早期にサービス提供を可能にするITシステムを構築する予定です。

戦略2

先進的な商品・サービスを通じた提供価値の向上

当戦略では、ITを活用した既存サービスの付加価値向上を進めて参ります。
具体的には、労働人口の減少が社会問題となっている状況を鑑み、各種BPOサービスの提供によるお客様の「オペレーション」に関わる支援に加えて、足元は、クラウドサービス等のDX関連ソリューションの提供により「システム」面からも支援することでお客様の業務改革・DXを多面的に実現する「BPS:ビジネス・プロセス・サービス」の提供を推進しております。
課題は、多様化・高度化するお客様の業務課題に対応する新たなクラウドサービスの拡充です。今後は、グループ会社においてお客様の経営課題の解決に資するクラウドサービスの拡充を進め、各種ファイナンスサービス、BPOサービス、システムソリューションの提供を行う予定です。

戦略3

営業活動のデジタルサポート

当戦略では、新たなビジネス創出・顧客サービスの向上に資するよう、デジタル技術を活用して営業活動をサポートする仕組みの構築を目指します。
具体的には、営業データの利活用を実現するための環境整備として、本年4月より社内営業支援システムの更改に向けた準備を進めております。
課題は、効率的な営業活動の推進やデータの利活用を行うにあたっての新たな営業支援システムと既存社内システムとの連携、グループ会社の情報連携です。今後は、グループの顧客データを共有する基盤の構築への着手、データ分析基盤の検討推進も併せて実施する予定です。

戦略4

事業運営の抜本的な効率化・高度化、柔軟な働き方と業務プロセス改革

当戦略では、デジタル技術を有効に活用して、ミドル・バックオフィスにおける業務プロセス改革の実現を目指します。
具体的取り組みの一つ目として、従来より、全社的にRPAやAI-OCRの導入による定型業務の効率化を推進しておりますが、足元は、既存業務を「見える化」し、「課題を抽出」した上で、デジタルツールにより事業運営の抜本的な効率化・高度化を図っております。
課題は、当社においては事業領域の拡大に合わせて業務も多様化・高度化しているため、効率化の領域も拡大していく必要があることです。今後は、グループ会社のデジタル技術やノウハウも活用して社内横断で取り組みを推進し、事業運営効率化・高度化のカバレッジを拡げていく予定です。
二つ目に、柔軟な働き方と業務プロセス改革に向けて、コミュニケーション手段の多様化・プロジェクト管理の高度化を目的としたデジタルツールの導入を検討しております。
課題は、既存システムや更改を検討している営業支援システムとの連携です。今後は、各種デジタルツールの試行を行い、導入に向けた検討を継続していく予定です。
三つ目として、上記2点の実現のためには、社員一人ひとりがデジタルリテラシーを身に付けることが重要であると考え、本年4月より、全社員を対象としたDX人材育成プログラムの策定に着手し、具体的なプログラムの開始に向けた準備を進めております。
課題は、全社員の役割に応じた細かな研修メニューや実践プログラムの整備です。今後は、外部企業のeラーニング導入など、具体的な育成プログラムの実行に向けて準備する予定です。


私ども芙蓉リースグループは、昨今の労働人口減少や気候変動等の社会問題や、お客様のニーズの多様化・高度化、業界の垣根を超えた競争環境の変化等、目まぐるしい外部環境の変化に対応していくために、金融事業のみならず、その他の事業分野、例えば、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業などに注力しており、事業領域を拡大していく上で、デジタル技術を活用していくことの重要性は日に日に増していると実感しております。

本年4月からスタートしました中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」において、社会課題解決と経済価値創造の同時実現を掲げました。従来のリースをはじめとした金融だけではこの同時実現はできません。また、単なる業務の効率化やデジタル化だけでも不十分です。ビジネスモデルおよび社内業務プロセスの変革が必要不可欠です。そのための『DX戦略』です。

『DX戦略』は4つの戦略で構成されておりますが、これらは必ずしも単線ではなく、時には複合的に推進していくことになります。例えば、お客様のニーズが多様化する中で、新たなビジネスモデルを創出することはそう容易なものではありません。必要なことは、お客様のニーズや課題を「見える化」し、最適なソリューションを提供すること。そのためのデジタルテクノロジーです。一人ひとりがデジタルテクノロジーによる自社およびビジネスモデルの変革の必要性を「自分ゴト」として捉え、強い当事者意識を持って行動するためのマインド醸成や、テクノロジーやデータを有効活用するためのスキル習得を支援する環境を整備することも重要だと考えます。

戦略を効果的に遂行するため、組織を横断して推進する体制も整備しました。もちろん、社長の私も、DXを「自分ゴト」として強いリーダーシップを発揮し、社会課題解決と経済価値創造の同時実現を目指して参る所存です。

2022年8月
代表取締役社長
織田 寛明