トップメッセージ

リースの枠組みを超えた新たな事業領域の拡大により、社会課題の解決と企業としての持続的な成長を両立する

代表取締役社長 田 泰徳

戦略分野・フロンティアへの集中投資で更なる成長へ

芙蓉リースグループの5カ年の中期経営計画「FrontierExpansion 2021」は今年で4年目を迎えました。FrontierExpansionというネーミングに込めた思いは、当社グループがこれまで積み上げてきたリース事業に関するノウハウとお客様からの信頼を大切にしながら、更に新しい領域へ勇気を持って踏み出していくということです。これは「前例のない場所へ。」という当社のコーポレートスローガンにも通じる姿勢です。

その成果は、2019年度の経営成績が当初に定めた中間目途値を大きく超えて達成したことにも表れています。順調な成長の要因は大きく2点あります。1点目は、戦略分野と位置付けた事業分野の営業資産が着実に増加し、グループ全体の成長を力強く牽引したこと、2点目は、M&Aや資本提携、業務提携といったフロンティアの拡大を目指す施策が奏功したことです。

社会やお客様のニーズはこれまで以上に多様化しており、従来のビジネスにとどまっていては持続的な成長を実現することはできません。自分たちの強みをどの事業でどう活かすことが最適かを中長期的な視点で常に考え、今後も戦略分野やフロンティアを中心に経営資源を積極的に投下していきます。

2019年度の振り返り

2019年度を振り返りますと、国内経済は雇用・所得環境の改善を背景に、景気は緩やかな回復基調が持続したものの、米中の貿易摩擦に加え、年度後半の新型コロナウイルス感染症の拡大などの影響により、先行きに対する不透明感は拭えない状況にあります。

こうした環境の下、当社グループは2018年度に引き続き過去最高の売上高7,123億円(前年度比15.2%増)、経常利益440億円(前年度比12.6%増)を達成しました。戦略分野を中心に順調に資産を積み上げるとともに、「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービス※1」において2018年度にグループに加わったインボイス社の業績が通期で反映されたこと等から、大きく伸長しました。

戦略分野とフロンティアの成長

中期経営計画「Frontier Expansion 2021」では、戦略分野の選択と集中を図るため、事業領域を4象限に区分けして管理するゾーンマネジメントの考え方に基づき、事業ポートフォリオ運営を進めています。(下図参照)

従来型のリース・ファイナンス事業等は「コア分野」としてパフォーマンスゾーンに位置付けて継続的かつ安定的な収益を上げています。また、「不動産」「医療・福祉」「エネルギー・環境」「航空機」等の各分野を、「戦略分野」としてトランスフォーメーションゾーンに位置付けて重点的に経営資源を集中し、スピード感を持ってマネジメントすることで事業拡大を進めました。更に、フロンティアとして「新領域」をインキュベーションゾーンに位置付け、将来的に戦略分野やコア分野へ成長する事業を確保するため、新規事業に対して積極的な投資を行いました。

このように、事業分野の位置付けを明確化し、方針をぶらさずに各事業のパフォーマンスを向上させてきたことが、安定的な成長に繋がっていると考えています。経常利益における戦略分野及びフロンティアが占める割合は、中期経営計画スタート前の2016年度に約30%であったものが、2019年度には56%にまで大幅に伸長しました。計画最終年度の2021年度には、コア分野31%に対して、戦略分野及びフロンティアの比率はほぼ倍の59%まで拡大すると見込んでいます。

次の成長ドライバーとなるBPOとモビリティビジネス

2019年度の成果をもう少し掘り下げると、2つの大きな変化がありました。

まず、トランスフォーメーションゾーンに位置付けた「BPOサービス」が、グループ業績を牽引するまでに成長したことです。近年、日本企業においては、労働人口の減少や政府の働き方改革の推進に対応し、社員の生産性向上が課題となっています。この課題解決の有効な手段として、業務プロセスの一部を一括して外部委託するBPOへの需要が高まると考え、BPOサービス事業の拡充を図ってきました。2019年8月にNOCアウトソーシング&コンサルティング社を連結子会社化し、同社の人事・総務・営業事務等を含む幅広い業務アウトソーシングサービスとコンサルティング力が加わったことで、アクリーティブ社、インボイス社等の業務領域と併せてフルレンジのサービス提供体制が整いました。特色あるサービスを組み合わせることで、顧客に最適なソリューションを提供できる点は当社グループの大きな強みであり、この分野におけるポジションの確立に向けて着実に進んでいます。

2点目は、新たな成長の芽として「モビリティビジネス」をトランスフォーメーションゾーンに位置付けたことです。現在、自動車業界は「CASE※2」「MaaS※3」といったキーワードで語られる大きな変革期にあり、今後の人やモノの移動のあり方が大きく変わろうとしています。また、物流業界においても、物流量の増加や人手不足の深刻化等多くの課題が顕在化しています。当社グループはこれらの課題解決を大きなビジネスチャンスと捉え、従来の「オートリース」の枠を超え、車両・物流・倉庫に関連する事業に領域を広げて取り組んでいきます。2020年4月にはヤマトリース社を連結子会社化し、同社の物流トラックという営業資産や新たな顧客ネットワークが加わったことで、今後の領域拡大に向けての一歩を踏み出しました。更に、BPOサービスの提供や、TDF社※4、PRC社※5といった海外グループ会社が有するノウハウ等も活用していくことで、物流業界が直面している社会課題の解決に貢献していきたいと考えています。

社会と企業との共有価値の創造(CSV)を軸に広がるビジネスの新領域

私は、不確実性が高まるグローバル経済の中でビジネスの新領域を検討するにあたり、社会課題の解決を通じて企業の持続的な成長を実現するという「CSV※6」の考え方を大切にしています。世界はSDGsに代表される様々なグローバルイシューに直面しており、また新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う「アフターコロナ」「ニューノーマル」と呼ばれる新たな社会の変化も想定されます。こうした諸課題に事業の領域で真正面から取り組んで解決することができれば、それは自ずと新たなブルーオーシャンのマーケット獲得や既存マーケットの拡大に繋がると信じています。

現在、当社グループは、気候変動問題や医療・福祉の充実、企業の生産性の向上といった社会課題を解決する事業に対して、集中的に経営資源を投下しています。

気候変動問題においては、FIT※7制度終了後の再生可能エネルギーの導入をサポートする様々なサービスの提供に取り組んでいます。その一つであるグリーン電力供給サービス(PPAサービス)※8は、本格セールスを開始した2019年下期以降で既に複数受注が内定し、需要の高さを実感しています。また、2019年10月には、「RE100※9」及び「再エネ100宣言RE Action※10」参加企業・団体を対象とした優遇ファイナンスプログラム「芙蓉 再エネ100宣言・サポートプログラム」を開始しました。このプログラムは、企業から自治体、医療・教育機関に至る幅広い主体の再エネ推進を後押しする社会的意義を認められ、2020年2月に「ESGファイナンス・アワード」のボンド部門で金賞(環境大臣賞)を受賞いたしました。

更に、2022年度より始まる次期中期経営計画に向けて、衛星データを活用したソリューション事業を行うSynspective社や、人の立ち入りが困難な特殊環境で活躍するロボットの開発・製造を行うハイボット社といった資本業務提携を実施済みのベンチャー企業との連携を視野に、新たな社会課題に向き合うことで、更に多くの成長ドライバーを用意していきたいと考えています。

社員一人ひとりの発想がグループ総合力を向上させる

CSVの考え方や実践のあり方を私自ら折に触れ社内に発信してきたことで、社会やお客様が抱える課題を解決するという視点から生まれたビジネスが増えています。今後は、研修やワークショップを通じて、社員一人ひとりの理解と実践を深めていきたいと考えています。日々の業務を通じお客様や社会に提供している社会的な価値は何かを話し合い、自ら気付きを得ることで、一人ひとりがCSVの視点を持って仕事に取り組むことを期待しています。

当社グループにとっては「人」が最大の財産です。全ての社員が能力を最大限に発揮できてこそ、私たちは成長し続けることができると考えています。2020年6月には本社をはじめグループ各社の機能を千代田区麹町に集約しました。新オフィスは、社員が快適かつ効率的に業務に取り組むための様々な工夫を備えており、会社の垣根を越えたコミュニケーションが活性化する場となっています。今後はグループ内での人材交流や業務における連携を更に深め、総合力の向上に繋げたいと考えています。

株主の皆様への長期的な利益還元と持続的な成長に向けて

2020年3月期の配当は前期比17円増配の205円、配当性向は23.5%となりました。2021年3月期については、配当は15円増配の220円、配当性向は24.4%と予想しています。新型コロナウイルスについては、不動産事業や航空機事業等に対する影響が懸念されますが、戦略分野及びフロンティアの拡大を推進し、更なる成長を実現するため、株主資本の充実による経営基盤と財務体質の強化、そして長期的かつ安定的な配当の継続による株主への利益還元に努めてまいります。

当社グループが目指す姿は、特定の一つの事業領域で大きな収益を上げることではなく、一定の収益規模の事業ドメインを複数バランス良く持つことです。山になぞらえれば、独立峰である富士山型ではなく、複数の頂を擁する八ヶ岳のような連峰型の収益構造です。従来型のリース事業の枠にとらわれず、常に成長マーケットに経営資源を投入しながら持続的な成長を実現していきます。

私たち芙蓉リースグループは、世の中の変化を恐れず成長の芽として前向きに捉え、新たな領域へ果敢にチャレンジしていきます。一人ひとりがフロンティア精神を持ち、グループ一丸となってコーポレートスローガンである「前例のない場所へ。」を追求する芙蓉リースグループに、今後もぜひご期待ください。

Frontier Expansion 2021 [インキュベーションゾーン(新規事業を育む)] 支援型投資・破壊的イノベーション フロンティア:新領域・Ex:研究開発型ベンチャーへの出資 (投資回収期間:3~5年) [トランスフォーメーションゾーン(新規事業を拡大する)] 収益パフォーマンス・破壊的イノベーション 戦略分野:エネルギー・環境/医療・福祉/新領域 モノ価値・事業価値/海外/BPO/航空機/不動産/モビリティビジネス (投資回収期間:2~3年) 社会課題の解決を通じた事業の成長 CSV(Creating Shared Value) [パフォーマンスゾーン(既存事業で成果を出す)] 持続的イノベーション・収益パフォーマンス グループ:コア分野(国内コーポレート・ベンダーリース・ファイナンス) (投資回収期間:毎年) [プロダクティビティゾーン(生産性を上げる)] 持続的イノベーション・支援型投資 コーポレート部門 参考著書:ジェフリー・ムーア「ゾーンマネジメント:破壊的変化の中で生き残る策と手順」(栗原潔訳)
  • ※1
    BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービス:企業の業務プロセスの一部または全部を受託し代行するサービス。
  • ※2
    CASE:Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Service(シェアリング&サービス)、Electric(電動化)の4つのトレンドの頭文字をもとにした造語。
  • ※3
    MaaS:移動手段(モビリティ)のサービス化を表すMobility as a Serviceの略語。
  • ※4
    TDF社:TDF Group Inc./北米でピックアップトラックのレンタル・リース・販売事業を展開する企業。
  • ※5
    PRC社:Pacific Rim Capital, Inc./米国を中心にマテリアルハンドリング機器のオペレーティング・リース事業を展開する企業。
  • ※6
    CSV:Creating Shared Value/共有価値の創造。社会的価値と経済的価値を同時に追求して両立させることを目指す概念。
  • ※7
    FIT:固定価格買取制度(Feed-in-Tariff)。再生可能エネルギーを一定期間、固定価格で買い取ることを定めた制度。
  • ※8
    グリーン電力供給サービス(PPAサービス):顧客の施設屋根などに太陽光発電システムを設置して直接エネルギーを供給する事業。
  • ※9
    RE100:事業活動で消費する電力を全て再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアチブ。
  • ※10
    再エネ100宣言 RE Action:2019年10月に設立。RE100の対象とならない中小規模の企業・団体や自治体を対象に、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーに転換することを宣言するイニシアチブ。

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