気候変動への対応

芙蓉リースグループの脱炭素戦略

温室効果ガスの増加に伴い、気候変動の深刻化が進み、世界規模の課題となっています。2020年以降の国際的枠組みであるパリ協定等を背景に、各国で脱炭素化への取り組みが進んでいます。
気候変動問題・脱炭素化への対応は、再エネ関連事業等に注力しノウハウを持つ当社グループにとって重要な事業機会であり、「社会価値の実現」と「企業価値の実現」を高いレベルで同時実現することができるCSVの中心的領域です。中期経営計画では「脱炭素社会実現への貢献」を重要課題(マテリアリティ)に設定し、事業活動を通じたCO₂削減貢献を掲げました。芙蓉リースグループは、リスク軽減としての「自社グループの脱炭素化」、事業機会としての「お客様・社会の脱炭素化」を両輪として、気候変動の緩和に取り組むと同時に、事業成長を実現していきます。

気候変動に係るリスクと機会について、リスク低減としての「自社グループの脱炭素化」と事業機会の獲得としての「お客様・社会の脱炭素化」を両輪として取り組んでいる。

2019年には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への賛同を表明し、TCFD提言に基づく情報開示を行っています。シナリオ分析を用いたリスク・機会の特定や、リスク低減・機会獲得に向けた指標・目標等については、「TCFD提言に基づく情報開示」を参照ください。

自社グループの脱炭素化

温室効果ガスの排出量削減に向けては、まず自らが主体的に取り組みを行う必要があると考え、2018年に国内の総合リース会社として初めて「RE100」に参加すると共に、2021年にはカーボンニュートラルを2030年に達成することを宣言しました。
RE100は、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーに転換することを目指す国際的なイニシアチブです。芙蓉リースグループでは、2030年までにRE100を達成し、カーボンニュートラル(Scope1, 2)を実現することを中長期環境目標として掲げています。

RE100 CDP DISCLOSURE INSIGHT ACTION

自社における再生可能エネルギーの使用

2021年度以降、グループ本社ビルで使用する電力をすべてRE100適合電気に転換したほか、国内・海外拠点において再生可能エネルギーの活用を推進しています。2023年度は一部の国内拠点において再生可能エネルギー電力を導入したほか、非化石証書によるオフセットを実施し、グループ全体の消費電力における再生可能エネルギーの割合は85%となっています。

エネルギー使用の効率化に向けた取り組み

芙蓉リースグループ各拠点で、省エネルギーやエネルギー効率化に向けた取り組みを推進しています。具体的には、冷暖房設備の適切な温度設定や節電の呼びかけ、高効率照明への切り替えを行っています。また、安全で燃料消費の少ないエコドライブの推進や社員への啓発活動等を通じて、社用車の燃料消費量削減に取り組んでいます。2023年度は社用車として8台の電気自動車(EV)を導入し、化石燃料の使用量削減にも取り組んでいます。

CO₂排出量(スコープ1,2)※1 ※2 ※3

2020年度3月 合計:1,971t-CO₂ スコープ1:688t-CO₂ スコープ2:1,283t-CO₂ CO₂排出量原単位:0.29t-CO₂/億円、2021年度3月 合計:2,016t-CO₂ スコープ1:603t-CO₂ スコープ2:1,414t-CO₂ CO₂排出量原単位:0.28t-CO₂/億円、2022年度3月 合計:1,455t-CO₂ スコープ1:584t-CO₂ スコープ2:872t-CO₂ CO₂排出量原単位:0.22t-CO₂/億円、2023年度3月 合計:1,715t-CO₂ スコープ1:558t-CO₂ スコープ2:1,157t-CO₂ CO₂排出量原単位:0.25t-CO₂/億円、2024年度3月 合計:899t-CO₂ スコープ1:532t-CO₂ スコープ2:367t-CO₂ CO₂排出量原単位:0.13t-CO₂/億円

総エネルギー使用量※2 ※3 ※4

2020年度3月 合計:39,019GJ 電気:28,754GJ 都市ガス・LPガス:28GJ ガソリン・軽油:10,237GJ エネルギー使用原単位:5.71GJ/億円、2021年度3月 合計:41,395GJ 電気:32,394GJ 都市ガス・LPガス:63GJ ガソリン・軽油:8,939GJ エネルギー使用原単位:5.74GJ/億円、2022年度3月 合計:44,854GJ 電気:36,142GJ 都市ガス・LPガス:63GJ ガソリン・軽油:8,648GJ エネルギー使用原単位:6.91GJ/億円、2023年度3月 合計:52,283GJ 電気:43,982GJ 都市ガス・LPガス:84GJ ガソリン・軽油:8,217GJ エネルギー使用原単位:7.59GJ/億円、2024年度3月 合計:69,189GJ 電気:61,123GJ 都市ガス・LPガス:161GJ ガソリン・軽油:7,906GJ エネルギー使用原単位:9.77GJ/億円

電力使用量※2 ※3

2020年度3月 合計:2,884MWh 一般電力:2,884MWh 電力使用原単位:421.98kWh/億円、2021年度3月 合計:3,249MWh 一般電力:3,249MWh 電力使用原単位:450.92kWh/億円、2022年度3月 合計:3,625MWh 一般電力:2,030MWh 再生可能エネルギー:1,596MWh 電力使用原単位:558.87Wh/億円、2023年度3月 合計:4,411MWh 一般電力:2,688MWh 再生可能エネルギー:1,723MWh 電力使用原単位:640.52kWh/億円、2024年度3月 合計:6,131MWh 一般電力:914MWh 再生可能エネルギー:5,217MWh 電力使用原単位:865.26kWh/億円

営業車燃料使用量※2 ※5

2020年度3月 ガソリン・軽油:296kL 営業車燃料使用量原単位:43.29L/億円、2021年度3月 ガソリン・軽油:258kL 営業車燃料使用量原単位:35.83L/億円、2022年度3月 ガソリン・軽油:249kL 営業車燃料使用量原単位:38.39L/億円、2023年度3月 ガソリン・軽油:237kL 営業車燃料使用量原単位:34.38L/億円、2024年度3月 ガソリン・軽油:227kL 営業車燃料使用量原単位:32.08L/億円
  • ※1
    CO₂排出量は、「特定排出者の事業活動に伴う温室効果ガスの排出量の算定に関する省令」の排出係数を用いて算定(国内の電気については、算定対象の事業所・オフィスが所在する地域において電力供給を行っている一般送配電事業者の各年度の調整後排出係数を用いて算定。海外の電気については、国際エネルギー機関(IEA)の公表する国別排出係数を用いて算定)。ただし、芙蓉総合リースおよびグループ各社は、特定排出者には該当しません。
  • ※2
    対象範囲は、芙蓉総合リース、芙蓉オートリース、FGLグループ・ビジネスサービス、FGLグループ・マネジメントサービス、FGLサーキュラー・ネットワーク、FGLリースアップ・ビジネスサービス、アクア・アート、FGLテクノソリューションズ、シャープファイナンス、アクリーティブ、インボイス、FUJITA、芙蓉アウトソーシング&コンサルティング、ヤマトリース、WorkVision、ヒューマンセントリックスの国内全事業所、連結子会社である太陽光発電所のSPC、並びに、Fuyo General Lease(USA)Inc.、芙蓉綜合融資租賃(中国) 有限公司、Fuyo General Lease(HK)Limited、Fuyo General Lease(Asia)Pte. Ltd.、台灣芙蓉總合租賃股份有限公司、Fuyo General Lease(Thailand)Co., Ltd.、FGL Aircraft Ireland Limited、Aircraft Leasing and Management Limited、FGL Aircraft USA Inc.、Pacific Rim Capital, Inc.の現地法人。なお、グループ会社については集計開始以前の値は表示していません。また、連結子会社である太陽光発電所のSPCについては2023年度より集計体制が整ったことによりスコープ2および電力使用量の算定範囲に含めています。
  • ※3
    一部拠点については電力使用量を推計しています。推計方法は、推計対象拠点の面積に、芙蓉リース本社もしくは対象拠点の建屋全体もしくは対象拠点の本社における面積当たりの電力使用量を乗じる方法を採用しています。
  • ※4
    エネルギー使用量は、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」の単位発熱量を用いて算定しています。
  • ※5
    グラフ記載の数値ほか、電力6,032kWh、水素燃料257.01kgの使用があります。

気候変動への適応

当社グループは、気候変動の緩和対策だけでなく、適応に向けた取り組みも進めています。異常気象を踏まえたBCPを構築しており、芙蓉リースグループ拠点及びデータセンターにおいては大規模な水災害の発生を想定し、リスクの最小化に努めています。

お客様・社会の脱炭素化

当社グループでは、お客様の再エネ・省エネ設備・機器等の導入・置換によるCO₂排出削減効果を、リース事業が創出できる重要な削減貢献であると同時に、脱炭素社会への移行に伴う重要な事業機会と位置付けて取り組んでいます。
この実現に向けて、お客様をはじめとしたステークホルダーに働きかけ、協働し、脱炭素化に向けた能力を高めていくために、以下のような働きかけを積極的に推進していきます。また、気候変動を否定したり、気候変動規制に反対する活動を支援することはありません。

商品・サービスによる省エネ対策

省エネ機器メーカーや建設会社など様々な分野の企業とパートナーシップを組み、ESCO事業をはじめとした多様なスキームで、お客様の省エネルギー活動をサポートしています。ESCO事業とは省エネルギー改善に必要な、技術・設備・人材・資金など全てを包括的に提供し、現在の環境や利便性を損なうことなく省エネルギーを実現し、その結果、得られる省エネルギー効果(経費削減効果)の一部を報酬として享受する事業のことです。また、お客様のエネルギー使用状況に応じて、空調やLED照明などの省エネ制御や運用改善、補助金を活用したリースなど、様々な省エネソリューションを提案することで、お客様のコスト削減とCO₂排出削減に繋げています。

再生可能エネルギーの普及推進

再生可能エネルギーは、気候変動リスクの高まりから、太陽光、風力、バイオマス、中小水力、地熱等の活用が大きく注目され、ビジネスマーケットが拡大し続けています。
芙蓉リースは、自社の発電事業で蓄積したノウハウを活かし、大規模な発電事業への参画や、グリーン電力供給(PPA)サービス(お客様の施設屋根や遊休地へ太陽光発電システムを設置し、発電したグリーン電力をお客様へ直接供給するサービス)など、お客様に最適な発電設備の導入プランを各種ファイナンススキームと組み合わせて数多く提供することで、再生可能エネルギーの普及推進に貢献しています。同時に、再生可能エネルギー関連の先端技術を持つベンチャー企業と業務提携等を行い、事業化・商業化をサポートすることで、再生可能エネルギー導入の更なる拡大に貢献しています。

再生可能エネルギー発電事業の取り組み

芙蓉リースグループでは、2012年度より再生可能エネルギー発電事業を開始し、地域社会にグリーンエネルギーを供給しています。2021年度以降、国内では太陽光・風力を中心に取り組み、海外では欧米を中心に大規模案件に取り組んでいます。その結果、2023年度の再エネ発電容量は705MWとなりました。

Hornsea One 洋上風力発電所(英国)

グリーンエネルギーの供給(出力規模)/CO₂削減貢献量

2020年3月 グリーンエネルギーの供給(出力規模):229MW 再エネ発電によるCO₂削減貢献量:85,577t-Co₂ 合計:85,577t-Co₂、2021年3月 グリーンエネルギーの供給(出力規模):283MW 再エネ発電によるCO₂削減貢献量:147,574t-Co₂ 合計:147,574t-Co₂、2022年3月 グリーンエネルギーの供給(出力規模):318MW 再エネ発電によるCO₂削減貢献量:153,422t-Co₂ 合計:153,442t-Co₂、2023年3月 グリーンエネルギーの供給(出力規模):515MW 再エネ発電によるCO₂削減貢献量:210,782t-Co₂ その他事業によるCO₂削減貢献量:9,373 合計:220,155t-Co₂、2024年3月 グリーンエネルギーの供給(出力規模):705MW 再エネ発電によるCO₂削減貢献量:323,648t-Co₂ その他事業によるCO₂削減貢献量:12,767

再生可能エネルギー関連インフラの普及推進に向けた取り組み

当社グループは、ファイナンスを通じて脱炭素化に取り組む企業や団体をサポートするため、「芙蓉 再エネ100宣言・サポートプログラム」「芙蓉 ゼロカーボンシティ・サポートプログラム」という2つのプログラムを提供しています。

「芙蓉 再エネ100宣言・サポートプログラム」は、将来的な100%再生可能エネルギー化を宣言したRE100参加企業及び再エネ100宣言 RE Action参加企業・団体を対象とした優遇ファイナンスプログラムで、再生可能エネルギー設備や省エネルギー機器の導入を促進することを狙いとしています。

「芙蓉 ゼロカーボンシティ・サポートプログラム」は、「2050年までにCO₂実質排出ゼロ」を表明した自治体(ゼロカーボンシティ)の脱炭素化を支援する寄付型ファイナンスプログラムです。ゼロカーボンシティを宣言した自治体エリア内で脱炭素化に資する設備・機器を導入されるお客様とともに、リース契約額の0.2%相当額を、ゼロカーボンシティの推進に貢献する団体に寄付する取り組みで、全国にわたる多くのお客様にご利用いただき、環境省の令和5年度ESGリース促進事業の優良取組認定事業に選ばれました。

芙蓉リースグループは、ゼロカーボンシティを宣言した自治体エリア内の企業に脱炭素化のファイナンスサポートを行っている。その取組みが認められ、環境省の令和5年度ESGリース促進事業の優良取組認定事業に選ばれた。

再生可能エネルギー関連技術への投資、事業化・商業化のサポート

当社グループは、再生可能エネルギー導入の更なる拡大に貢献すべく、再生可能エネルギー関連の先端技術を持つベンチャー企業に対して出資や業務提携を行うことで、その事業化・商業化を後押ししています。

主な支援実績
出資時期 パートナー 事業概要
2018年6月 エクセルギー・パワー・システムズ 次世代蓄エネルギーシステムの開発・製造
2019年3月 NExT-e Solutions 先進的な蓄電池の制御技術を活用したバッテリーマネジメントシステムの提供
2020年2月 ヒラソル・エナジー 太陽光発電設備の保守管理 IoT プラットフォームの開発
2020年10月 つばめBHB 低温・低圧力下での分散型アンモニア製造開発技術の開発
2021年10月 アイ・グリッド・ソリューションズ エネルギーマネジメント、VPP、電力供給事業を展開