人的資本

芙蓉リースグループは「人」すなわち社員が当社グループの持続的な価値創造を支える基盤であり、最大の財産と考え、積極的な人材投資を行っています。社員一人一人が「働きがい」「働く意義」を感じながら、仕事を通じて成長し、心身共に充実した生活を送っていくことが大切であると考えます。

そして、社員一人一人の成長を促し、才能や能力が最大限発揮されることによって、当社グループの持続的な成長に繋がっていくものと考えています。

人材投資に関する取り組みの柱は、「戦略的人材育成」「ダイバーシティ&インクルージョン」「健康経営、ワーク・ライフ・バランス」の3つです。社員一人一人の挑戦と成長を後押しし、社員と共に成長するグループを目指します。

芙蓉リースの人材投資における3つの柱 戦略的人材育成:事業領域の多様化、高度化に対応する 健康経営、ワーク・ライフ・バランス:健康で生き生きと働ける職場環境の整備 ダイバーシティ&インクルージョン:多様な個性や才能、能力が最大限発揮できる。

「ダイバーシティ&インクルージョン」及び「健康経営、ワーク・ライフ・バランス」に関する取り組みは、以下を参照ください。

戦略的人材育成

当社グループでは、“前例のない場所”に進むために「自ら考え積極的に行動し、成長意欲を持った自律した人材」であることを社員に求めてきました。さらに今後、CSVを軸に据えて2026年度までの中期経営計画、さらに2030年やその先のミッション・ビジョンを達成するためには、「事業領域ごとに高い専門性を有し、高付加価値を創出する人材」への成長も求められます。これらの求められる人物像への成長を最大限に支援するため、2026年度までに300%[2021年度比]の人材育成関連費用(単体)を目標として積極的に人材投資を行っており、2024年度末時点での同費用は337%の増加となっています。

求める人材とは、自ら考え積極的に行動し、成長意欲を持った自律型人材×事業領域ごとに高い専門性を有し、高付加価値を創出する人材である。

2019年7月に人事制度を改定し、「ゼネラリストをロールモデルとする職能資格を軸とした処遇の枠組みから、職務を軸としたメリハリのある複線的な処遇の枠組みへの転換」と、「長期的な視点で自律的な成長や職務領域の拡大が展望できる枠組みづくり」をコンセプトとしました。また、一般職コースを業務職コースに改称し、これまでのロールモデルであった事務課長だけではなく、部門長などのキャリアビジョンも描くことのできる制度としました。社員一人ひとりが自律的にキャリアを描くことができ、多様な分野で担っている役割や職責に相応しい処遇の実現に努めています。

人材育成に関する実績(2024年度)は、以下のとおりです。

  • 1.
    処遇面の実績
    • 従業員平均給与:936万円
  • 2.
    育成面の実績
    • 人材育成関連費用:278百万円
    • 海外トレーニーの派遣:9名
    • 教育目的の国内研修派遣(出向含む):16名

自律型人材の育成

上司の指導力の向上、社員自身の意識付け施策を通じて、自律性を高めていきます。

実施事項と実施概要について。社内コーチング資格取得プログラム米印1:マネジメント層向け。部下の自律性を引き出すコーチングスキル習得。2019年度から累計60名が受講。カフェテリアプラン米印2:業務関連に加え、リベラルアーツも含めた幅広い学びの機会を提供したことにより利用が大幅増加(21年度対比金額ベースで242%)。社内ゼミ制度米印3:ミクロ経済学、D&I、脱炭素経営、企業ガバナンス、中国・ASEANビジネスから絵画鑑賞まで幅広いテーマのゼミに92名が参加。 ※1 マネジメント職対象のコーチング研修。約半年にわたる研修と実践のサイクルを経て、修了者には社内資格として「コーチング資格」を付与
※2 通信教育やeラーニング、語学・資格スクール、ビジネススクールへの通学など多様なメニューから社員が自ら選択し、受講料を支援する制度
※3 個人の知識を所属・年次を超えた多くの社員が共有し、議論する場の提供を目的とした制度。

指導・育成の強化にむけた取り組み

新任次課長を主な対象として「マネジメント研修」を毎年開催しています。環境変化のスピードが加速する中で、仕事の達成と人材育成の両面にいかに向き合うか、外部講師のファシリテーションのもと、上位管理者や職場メンバーのサーベイ結果なども踏まえて活発に議論を交わし、各々の受講者が更なるマネジメント能力の向上に努めています。

また、“自ら考え、判断し、行動する”チカラを養うための指導・育成強化と次の世代に向けた人材育成を組織として継承していくことを目的として、2019年度下期からマネジメント職を対象にコーチング研修を導入しております。約半年にわたる研修と実践のサイクルを経て、修了者には社内資格として「コーチング資格」を付与しています。ティーチングに加え、コーチングによる指導・育成を通して社員一人ひとりの成長やリーダーシップの発揮を促し、多様性ある才能や能力が最大限発揮される組織を目指しています。

自律的な学びの促進に向けた取り組み

社員一人ひとりがプロフェッショナリティーを追求し自発的に能力開発に取り組むことを重視しています。2022年度からは「カフェテリアプラン」を導入し、通信教育やeラーニング、語学・資格スクール、ビジネススクールへの通学など多様なメニューから社員が自ら選択し、受講料を支援しています。2021年度に導入した「+Fridayセミナー」は、最新ビジネス情報や一般教養・健康など幅広いテーマを扱い、年齢や職位を問わず、社員が余暇の時間を利用して自ら学ぶ習慣を促進することを狙いとしています。また、個人の知識を多くの社員が共有し、議論する場として社内ゼミ制度開始し、2024年度は幅広いテーマのゼミに92人が参加しました。2024年度の教育・研修時間は社員一人当たり平均22.4時間となりました。

  • 「+Fridayセミナー」とは、社員が毎月1回、任意の金曜を選択して午後早帰りする「+Friday(プラス・フライデー)」等で生まれる時間に“学ぶ”機会を提供する金曜午後の不定期開催セミナーです。

自己申告制度

社員の自律的かつ継続的な能力開発の推進を図るため、「自己申告制度」を設けています。社員は、「自己申告書兼キャリア開発表」を通じて、「どのような能力の向上や職務領域の拡大が図れたのか」、自身の成長のために「どのような自己啓発に取り組み、今後どのような分野で経験を積んでいきたいのか」を、年1回、会社に申告します。会社は、この申告内容をもとに、一人ひとりのキャリア形成の考えを把握し、人事施策に反映させています。

また、これまでに受講した教育諸制度の受講状況を社員一人ひとりに還元し、自己啓発諸制度の自発的な活用を促進しています。

社内公募制度

米国(NY)のスタッフとトレーニー
タイのスタッフとトレーニー

自発的なキャリア形成を支援する「トレーニー制度」「社内公募制度」を設けています。更に2018年4月から自身のやりたい仕事にチャレンジできる「ジョブ公募制度」、2021年7月には「ジョブFA制度」を導入・開始しています。

海外トレーニーは、米国や香港、タイなどにある当社のグループ会社や、取引のある金融機関の海外支店等に2025年5月現在9名を派遣し、現地で日常業務に携わることで、国際金融取引の基礎知識や語学力の向上をめざしています。当社は、海外においても取引先と連携した環境エネルギー事業や不動産ファイナンスなどを拡大するとともに、海外ネットワークの強化を図っています。また、各事業に不可欠な業務においてもトレーニー制度を柔軟に設けることで、制度を活用し経験を積んだ人材による事業強化を期待しています。

「ジョブ公募制度」は、社員一人ひとりが自律的に自身の知識やスキルを高め、成長していく機会提供の枠組みとして導入しました。公募ポストとしては、部店長・関連会社社長・専門営業部・審査部門などを対象とし、実施しています。

「ジョブFA制度」は、一定の要件を満たす社員が自身の希望する部署へ異動することを原則可能とすることで、継続して高いモチベーションを維持していくための枠組みとして導入しました。

高付加価値を創出する人材の育成

事業領域の多様化・高度化に対応し、高付加価値を創出する人材を育成するため、スキルの構造を3階層に分類し、特に第2階層と第3階層を強化するプログラムを拡充しています。第2階層の語学分野では海外のビジネスパーソンとリモートで共同して課題に取り組む研修に2022年度からの3年間で49名の社員が参加しました。DX分野では、全社員を対象とした「DX人材育成プログラム」を展開し、eラーニングや集合研修、外部検定の受験等に多くの社員が取り組んでいます。2024年度は新規ビジネス創出のためのアイディア創出研修や業務効率化のためのOAスキル研修等を実施しました。ファイナンス分野でも、M&Aや証券化等の研修に238名の社員が公募参加しました。第3階層では、事業領域ごとに必要となるスキルの強化を狙いに、航空機部門社員へのデータアナリティクス研修やエネルギー部門社員への財務モデリング研修を実施しました。

  • スキルの構造
第1階層:リース・ファイナンスに必要な会計・税務・法務などの知識や、コミュニケーション・思考力等の一般的なビジネススキル 第2階層:語学やDX、先鋭的なファイナンス等、全事業領域において必要かつ付加価値創出を底上げするためのスキル 第3階層:エネルギー、BPO、ヘルスケア等の事業領域ごとの高い付加価値の源泉となる専門的なスキル

また、第1階層についても、2017年度から芙蓉リースグループ合同で「新入社員導入研修」をはじめ「キャリア」や「マネジメント」等ビジネススキル研修を実施しています。グループシナジーの追及の基盤として、各社の事業理解やカルチャーの共有に資する機会となっています。

グループワークに取り組む社員

資格取得奨励制度

法務・会計・金融・語学・IT・不動産や医療などの専門知識を対象とした約150資格を対象に、合格時の受験料や奨励金を支給する制度です。毎年多くの社員が活用しています。

人材採用や登用

人材の採用や登用においては、事業戦略の推進にあたり必要となる知識やスキルを想定するとともに、実際に活躍している社員の要件を分析しています。当社グループにとって必要な人材要件を定義し、大学キャリアセンター等とのネットワークを介してポテンシャルの高い人材を継続的に確保できるよう努めています。

コース転換制度

社員の就労や能力開発に関するニーズの多様化に応えるために、業務職から総合職、あるいは総合職から業務職への転換を図る「コース転換制度」を設けています。2011年4月から2025年4月までに計17名がこの制度を利用して、新しいフィールドで活躍しています。

正社員チャレンジ制度

能力や意欲の高い契約社員のさらなる能力開発および職務領域の拡大を図るため、一定の要件を満たす契約社員を正社員に登用する制度を2014年4月に新たに制定しました。

制度制定後、2025年4月までの期間で計19名の契約社員が正社員に登用され、管理部門や営業事務の分野で活躍しています。