2030年のあるべき姿に向けて、信頼とCSVを軸とした価値創造を目指します。
企業としての足腰が強くなった5年間
前中期経営計画からの5年間で、芙蓉リースグループは着実に成長することが出来ました。経常利益の約2倍という成長を支えたのは、芙蓉リースグループならではの営業力が強化され、企業としてのいわゆる足腰が強くなったことだと考えています。
私にとって仕事の醍醐味とは、お客さまへの提案を繰り返す中でお客さまのお役に立つ案件を成就し信頼関係を構築していくことにあると考えています。私自身、従業員に対し「お客さまとのパイプラインを築くために、お客さまを知り尽くそう。懐に入り込んでお悩みを聞いて知恵を出し続けて、ご満足いただけるまでご提案をし続けよう。」と、ことあるごとに繰り返し徹底して伝えてきました。一人ひとりがこうした行動指針に腹落ちし、自分ごととして取り組む経験を積み重ね、実際にお客さまの経営課題に対応したソリューションを提供することができるようになってきているということです。
「営業力の強化」という目的に向けて、BPOサービスを担う会社がグループに入り、人事、経理、総務、営業の業務分野に加え、研修を始めとした業務用動画作成サービスの提供により、お客さまとの継続的なパイプラインを築ける営業スタイルが強化されました。同時にBPOサービス自体が事業の大きな柱となり、更に一段高いゴールを目指せるようになりました。
中期経営計画『Fuyo Shared Value 2026』の進捗と今後の課題
2022年度より、中期経営計画『Fuyo Shared Value 2026』をスタートさせました。これは事業による社会課題の解決を通じて企業価値の向上を共に実現するというCSV(Creating Shared Value)の考え方を全面的に取り入れたものです。財務目標(企業価値)とともに非財務目標(社会価値)を等しく追求することで力強く持続的な利益成長を目指す、芙蓉リースグループの成長戦略です。
成長ドライバーとなる事業ドメインとして、社会的な地殻変動を捉えて戦略的な成長を目指す「モビリティ」「サーキュラーエコノミー」、市場トレンドを捉えて加速度的成長を目指す「エネルギー環境」「BPO/ICT」「ヘルスケア」の領域に経営資源を集中投下し、飛躍的な利益成長を目指します。
初年度となる2022年度は前年を上回る過去最高の実績となりました。成長ドライバーに位置付けた事業領域において着実にビジネスが進捗したことが主な要因です。ROAの改善と営業資産残高の積み上げという質と量の両立も実現し、収益性の向上を伴いながら着実な利益成長を実現でき、初年度を順調なペースで通過できたことは大変評価できると考えております。今後の展望ですが、「エネルギー環境」分野は、G7サミットにおいて7ヵ国合計で2030年には2021年対比で太陽光3倍、洋上風力7倍の導入を目指すといった合意がなされる等、引き続き大きな追い風です。国内・海外問わずパートナーとの連携は様々な形で進んでおり、更なる事業拡大を進めます。
「ヘルスケア」分野は、コロナウイルスに関する補助金の終了以降、事業者の資金面での課題が表面化し、また、業務のデジタル化が遅れています。当社グループの「BPO」機能や「ヘルスケア関連サービス」を掛け合わせ、収益改善や業務効率化に貢献していきます。2022年度は地域特化型ヘルスケアファンドを手がけましたが、地方における医療介護基盤の維持・構築は社会的にも重要なテーマであり、地域を支える地域金融機関との連携を含め社会課題の解決を進めてまいります。
「サーキュラーエコノミー」分野は、「社会価値」の実現と同時に、いかに収益性の高いビジネスモデルを確立し、「経済価値」を実現させるかが重要テーマになってきます。今回「サーキュラーエコノミーリース」という、お客様と一緒に循環型社会の実現推進に取り組む商品をリリースしました。現在の対象はパソコンなどに限られていますが、これを広げて社会価値と経済価値の同時創造を進めていくことに取り組んでいます。
「モビリティ」分野は、今はEV車の目先の数字を追いかけるのではなく、EVマーケットの拡大に備えたアライアンス先との協業体制の構築を進めてまいります。海外においても、持分法適用関連会社であったパシフィックリムキャピタルの連結子会社化を通して、物流領域におけるグローバルベースのビジネス拡大も進めていきます。また、こうした新たな事業領域の拡大に向けて、パートナー企業との連携を強力に推進し、足りない機能を強化してまいります。
信頼とCSVを軸とした価値創造と持続的な成長を目指す
私は社長に就任した時から「信頼される企業グループを目指したい」というメッセージを強く発信してきました。同時に、当社グループとしてミッション・ビジョン・バリューを明確化し、従業員一人ひとりの意識改革に取り組んできましたが、この1年間は、グループ全体でワークショップを開催し、グループのビジョンに従業員一人ひとりのビジョンを重ねて考えてもらい、「自分ゴト」として理解を深めてもらいました。さらに、ビジョンを達成するための行動指針であるバリューを実践してもらうため、具体的なアクションに繋がる「RM10ヶ条」(下図ご参照)を繰り返し伝達し続けたことで、進む方向と具体的な進み方の共有ができ始めていると感じています。
これからは「豊かな社会の実現と持続的な成長に貢献する」というミッションと日常の業務活動との関係性への理解を深めていきます。バリューが実現してビジョンに繋がったと実感することで、ビジョンが「自分ゴト」化になった人は増えてきていますが、その先のミッションについても粘り強く伝えていきたいと思います。
当社グループが持続的に発展していくためには、経済価値と社会価値を同時に追求し、お客さまや社会から信頼を獲得し、必要とされる存在になることが重要です。信頼とCSVを軸とした価値創造と持続的な成長こそが、私たちの目指す姿だと考えています。
人材育成とDXの取り組み:
人材育成とは信頼を育てること、育成にはお金と体力ともに300%を費やす
私たちサービス業にとって「ひと」が最大の財産であり、人材育成は最も体力をかけて行うべきことです。芙蓉リースが求める人材とは一言で言うと「信頼される人」です。人材育成関連費用を5年で一人当たり300%(2021年度比)とする目標を掲げていますが、金額だけでなく育成と学びにかける人の体力も3倍にすることが大切です。トップ自ら3倍かけますし、腹落ちしてくれた人は自らが「伝道師」となって、体力をかけて伝えてくれるようになります。だからこそ「信頼」を大切にする人が育つと信じています。それは一方的なものではありません。例えば、若手社員の考えていることは、まずしっかり聞いてあげて適切な反応を返しながら対話を深めることが大切です。社員と謂わば「壁打ち」の対話を行うことで、社員は育ち、信頼関係が構築できると同時に、自分自身の頭を整理し、今までになかった考えを得ることもできると感じています。
ダイバーシティも同様です。異なる立場、価値観の人と「壁打ち」をすることで、新たな考え方に気付き、学ぶことができます。女性や外国人など様々な人の声を聞くことが、結果として多様性の推進となり、新たな社会価値の発見や理解にも繋がります。それは、当社グループが大切にしているCSVの展開のためにも大切な考え方です。
DXの取り組みには、「お客様向けのDX」と「社内のDX」の二面があります。「お客様向けのDX」は「BPO/ICT」との相性が良く、関連グループ会社の機能を組み合わせてお客様のDXニーズに応えることができます。一方で、お客様の「面倒くさい」を解決するビジネスで利益をあげるには「社内のDX」を進め、リードタイムを短くし、業務の効率化や新たな価値創造に繋げる必要があります。社内業務プロセスを可視化し、課題を定めてデジタライゼーションしていく。そのために、グループ社員一人ひとりの意識改革を進め各々が自分ゴト化していくことが重要だと考えています。
ステークホルダーの皆さまへ:
社会課題の解決と同時に、将来にわたっての利益の実現と持続的な成長を目指す
中期経営計画は事業による社会課題の解決を通じて企業価値の向上を共に実現するというCSVの考え方を全面的に取り入れたものです。財務目標(企業価値)とともに非財務目標(社会価値)を等しく追求することで力強く持続的な利益成長を目指す、芙蓉リースグループの成長戦略です。社会課題の解決に取り組むことで、私たちの事業を成長させて新たな事業領域へと拡大し、社会課題の解決と同時に企業としての持続的な成長を目指すことを表明したものです。今の中計をしっかり遂行することで企業としての成長を達成し、地平線に向かってずっと歩き続けるように、ミッションを目指して、進んで参ります。
今後も、ステークホルダーである株主の皆さま、お客さま、パートナーそして社員の方からの信頼を高め、win-winの関係を構築し、「信頼され、常に選ばれる芙蓉リース」を目指してまいります。今後の芙蓉リースグループに、ぜひ、ご期待いただきたいと思います。